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電力会社の事情が伴う「ブラックアウト」と蓄電池の有効性
- 2020.09.28
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「停電」は身近にリスクが存在し、停電が発生すると家電製品を動かせなくなるので生活の質が大幅に低下します。
さて、停電に関連する事柄として近年「ブラックアウト」というキーワードを耳にする機会が多くなってきたと感じています。
そこで、ブラックアウトに関することと、蓄電池の有効性について解説します。
1.ブラックアウトの仕組みや発生理由について
最初に、そもそも「ブラックアウト」とは何なのか、基本的なことや発生の仕組みについて解説します。
1-1.「ブラックアウト」とは?
「ブラックアウト(全域停電)」とは、電力会社が管轄している地域の全域において停電が発生する現象のことです。
例えば「東京電力」の契約口数は約3,000万口(2015年度)であり、仮に東京電力の管轄エリアでブラックアウトが発生すればそれだけ多くの人が停電被害に悩まされることになります。
厳密には「全域での停電」がブラックアウトと定義されていますが、世界的に見ると全域停電ではないものの非常に規模の大きな停電についてもブラックアウトと表現されることがあります。
1-2.日本で過去に発生したブラックアウト
日本では過去にも「大規模停電」として扱われる停電は20件ほどありますが、そのうちブラックアウトと定義される停電は1つだけです。
それは、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震により引き起こされた、北海道全域のブラックアウトです。
1-3.ブラックアウトはなぜ起こる?
そもそも「停電」自体はさまざまな要因によって発生するのですが、北海道のブラックアウトの事例を知るためには、停電に関する「あるメカニズム」について知る必要があります。
たまに「北海道のブラックアウトは大地震で北海道のすべての発電所がダメージを受けた」と思っている人がいるのですが、北海道電力は(2020年3月末時点)12か所の火力発電所を中心に約70か所の発電所を保有しており、このすべてが地震だけで一度に停止するとは考えにくいでしょう。
では、なぜ北海道全域で停電が発生したのかといえば、キーワードは「周波数」です。
通常、発電における「需要」と「供給」のバランスは常に一致した状態を保っており、仮に需要に傾けば周波数が低下し、供給に傾けば周波数は増加します。
この周波数が一定(50Hzまたは60Hz)の状態でないと、きちんと送電できないのです。
地震発生時、北海道ではいくつかの発電所が地震の影響で停止し、供給が減少しました。
厄介なことに「地震が発生した」ことにより情報収集のためのテレビ需要が増加したことで、需要側がわずかながら増加してしまったことも相まって需給バランスは需要側に傾いてしまい、周波数が低下したのです。
周波数の低下が著しいときには発電所の安全装置が作動し、連鎖的に道内すべての発電所に波及したことにより全域停電、つまりブラックアウトが発生したのです。
北海道のブラックアウトで地震発生時に停止した「苫東厚真火力発電所(2号機・4号機)」の発電量は約116万kWです。
2.今後ブラックアウトは発生するのか?
日本では今後「南海トラフ巨大地震」など、甚大は被害が予想される大地震が発生すると予測されており、その際にはブラックアウトの発生が心配になります。
2-1.対策は考えられている
北海道のブラックアウトは、日本全国の電力会社の関係者に衝撃を与え、リスクに備えることを考えさせられるきっかけとなりました。
当時、政府は「重要インフラの緊急点検に関する関係閣僚会議」を開催して全ての重要インフラに対する緊急点検を指示し、この中で今後日本の各地域でブラックアウトが発生する可能性についても検討されています。
健全な電力会社の運営のためには地震というリスクは絶対に無視できないものであり、北海道のブラックアウトを教訓として迅速な復旧を実現するための体制づくりなどにも生かされています。
2-2.リスクはゼロではない
ただし、今後ブラックアウトが日本で発生するリスクがゼロであるというわけではありません。
そもそもブラックアウトの原因となるような大規模な災害は、現代の科学力をもってしても発生を完全に防ぐことは到底不可能であり、地震や台風などは起こり得るものです。
災害の発生やその規模は、ときに我々の予想をはるかに上回ることも多く、いかに備えていたとしてもその影響を全く受けないようにすることは極めて難しいでしょう。
北海道のブラックアウトの原因となった地震と同程度の規模の地震は、2016年以降だけでも日本で(近隣の地域も含めて)何件も発生しています。
3.ブラックアウト対策と蓄電池
ブラックアウトは起こり得るものであり、発生リスクをゼロにはできなくても「起きたブラックアウトに対する備え」は十分に可能です。
3-1.家庭でできるブラックアウト対策とは?
そもそもブラックアウトは発電所に影響を与える規模の災害が原因になりやすく、各家庭で災害発生を防ぐための対策はできませんが、「災害に対する備え」自体は十分に可能です。
ブラックアウトは要するに「停電」ですから、ブラックアウト対策は「停電への備え」をしておくことが重要なポイントになります。
- 蓄電池に電気を貯めておく
- 発電機などを用意しておく
- 停電時に使う家電と使わない家電をしっかりと決めておく
- 電気を使わずに済む代替手段(調理家電の代わりのカセットコンロなど)を用意する
- ノートPCやスマホなどを常に充電しておく
- エアコンや扇風機、電気で動く暖房器具が使えない
- 冷蔵庫や冷凍庫が動かず、中の食材が全滅する
- テレビが見られないので情報収集が難しくなる
- パソコンやスマホは使えるが、充電はできない
- 調理家電は全く使えず、カセットコンロなどに頼ることになる
- 夜間に電気が点かないのでランプなどに頼ることになる
- 洗濯機が動かない、近くのコインランドリーも停電中
3-2.電気が使えない不便さ
もし、ブラックアウトが発生すると電気が使えなくなるわけですから、生活するうえでさまざまな不便さを強いられることになるでしょう。
3-3.蓄電池である程度の電気生活は確保できる
もし、蓄電池があれば上記の不便さのうち、一部は解消することができます。
ブラックアウトが長期化した場合には蓄電容量次第では途中で電力切れになる可能性もありますが、ブラックアウト時に全く電気が使えないよりも生活の質は高く維持できます。
さらに、「家庭用の太陽光発電システム」があれば、昼間に作った電気を蓄電池に貯めておくことで夜間も電気を使うことができ、長期的な停電にも対処できるようになるのです。
ご家庭によっては医療用など特別な電化製品が動かなくなるリスクに備えたいところですね。
4.まとめ:ブラックアウトは起こり得る、蓄電池があれば復旧までのつなぎになる!
過去、そこまで多くの事例があったわけではありませんが、日本でも北海道の事例がありますから決してブラックアウトは起こらないものであるとは言い切れません。
ブラックアウトをはじめとして、頻発する停電や大規模停電など、いざという時にはと行く電池があれば電気を使うことができ、停電が復旧するまでのつなぎにすることができます。
蓄電池に関するお悩み・疑問は、ぜひ「蓄電池やりくりナビ」までご相談ください!