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蓄電池要らずの水力発電が、日本ではなぜ一般に普及しないのか?
- 2020.09.24
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世界にはいろいろな考え方の違いがあり、実は国によって発電方法の比率も極端に違います。
近年は環境の破壊による地球温暖化により、世界的にCO2の排出量に改善が求められる中、再生可能なエネルギーとして太陽光、風力、水力発電の推進が必須となっており、これらを効率良く取り入れることができるかどうかが電力事情全体で大きなポイントになります。
この、太陽光、風力、水力発電の3つを比較すると、それぞれのメリット・デメリットが見えてきます。
今回は、再生エネルギー3つの特徴と、水力発電の普及について考えてみたいと思います。
目次
太陽光発電、風力発電、水力発電を比較してみると
太陽光発電のメリットは、タービンを回さなくとも電気が作れて、陽が当たりさえすればいろいろな設置方法が可能で、家庭の屋根などの小規模から売電の仕組みが普及していて、一般に発電事業に参加しやすい部分です。
しかし、太陽光発電の大いなるデメリットが昼間にしか発電できないところです。
昼間にばかり電気を作る仕組みがあっても、結局社会全体では夜間の電気が足りず、電気の需要と供給のバランスが壊れてしまうのです。
この理由によって太陽光発電は、社会全体で見れば他の発電方法と組み合わせる前提となります。
風力発電は24時間発電可能ですが、設置が可能なスペースの条件が厳しいという側面があり、社会全体で増やしてゆくには限界があり、こちらもそれだけで賄える電気の量が足りません。
水力発電は、24時間、効率良く大量の電気量を生み出すことができ、しかも高低差の起伏が大きい日本の地形に向いていると言えます。
長期運用が可能な設備の耐用性もあります。
発電技術としても発達しており、再生可能エネルギーの中で最も効率良く電気を生産できる手段と言えます。
ダムの開発などによっては山間部の自然環境や居住環境を侵害しますが、水力発電そのものが地球上の水を消費したりすることはありませんので、水力は再生可能なエネルギー源であると言えます。
デメリットとしては設備の設置にかかる費用が莫大であることが挙げられます。
水力発電の種類にはどんなものがある?
・ダムによる大規模な水力発電
ダムの建設によって川を堰き止め、溜まったダム湖の水が放出される水圧によってタービンを回し、発電します。
発電量は放水量によって調整が効きますが、ダム湖の貯水量と下流への流出量などが関係しますので最大発電量で発電するには限りがありますし、公共機関による管理が必須と言えます。
・河川に水車とタービンを設置する中規模な水力発電
河川に水車のある光景は大昔から農家の水車小屋などで石うすを牽く水車などでイメージをお持ちかと思います。
現代では河川の本流では水量が安定しないため、分流の工業用水路や農業用水路などに様々な形状の水力発電装置が設置され、発電が行われています。
発電した電気は発電事業者(工場や農業生産者)での消費は難しいので、売電制度によって電気を売る事ができます。
・発電そのものではなく、電力の貯蔵に似た役割の「揚水発電」
標高の高い位置と低い位置にそれぞれため池を作り、間を制御可能な水管で繋いだ構造の発電施設です。
電気の足りない時間帯に上から下へ水を降ろし、水圧で発電します。
電気の余っている時間にはポンプで下から上へ水を上げ、電気を使います。
電力を社会全体で利用する時、必ず問題になるのが発電量と消費量との需要と供給のバランスです。
電気は足りなくても余ってもいけないので、電力会社は発電量の調整を行います。
曜日や時間帯によって社会での消費電力量が変動することをピークタイムと呼びます。
これを調整することをピークシフトと呼びますが、揚水発電はピークシフトに特化した大規模発電所だと言えます。
電気の余ってしまう、消費電力の少ない時間帯には電気を利用し、それによって汲み上げた水を使い、電気の足りない時間に電気を作る。
非常に合理的で積極的なピークシフトができますので、様々な電力事情の問題解決に注目され、日本でも全国に多数配置されています。
水力発電は日本の地理にすごく合うので、もっと水力発電に片寄せて発電すべき?
日本は大陸の端に隆起した島国で、平地が少なくでこぼこしています。
河川の多い水の豊かな国で、高低差を活かした水力発電設備が整えば、他の発電ソースはどんどん不要になっていきます。
諸外国の例としては、水力発電の先進国はカナダ・スイス・アイスランド・ノルウェー・ブラジルなどですが、これらは経済先進国であるとともに、河川の水量が豊かな国であると言えます。
これらの国は、総発電量の大半を水力発電によって賄っており、他の発電ソースにかかる負荷も軽いため、水力発電によって豊かな電力事情を実現していると言えます。
なぜ日本は水が豊富なのに水力発電は少なめなのでしょう?
水力発電が普及しにくい理由は何なのか?
水力発電は莫大な建設費が必要になる上に、河川を利用する権利が必要になります。
日本では河川を利用するための利権が異常に複雑なため、建設の手続きが煩雑になります。
そのため、水力発電の普及を急ぐことは現実的ではありません。
結果、大半の発電ソースを火力発電に依存する形になり、これらから再生可能エネルギーへの移行を急いだことで太陽光発電の推進を選択していると言えます。
日本は太陽光発電の発電割合としては世界的に誇れる割合量だと言えますが、これらをもっと増やしていき、火力発電によるCO2排出を削減してゆく考えです。
太陽光発電の増加とともに、昼間の発電量が超過していきますので、揚水発電の配置や一般家庭への蓄電池の普及を勧め、ピークシフトのできる持続可能で優秀な発電状況を作っていくことが肝要と見られております。
まとめ:今後の再生エネルギー普及の為に考えるべきことは?
今回は直接蓄電池のお話ではありませんでしたが、皆さんそれぞれの世帯が蓄電池の導入をすることが、結果的に社会の役に立っている側面があるというお話ではあります。
発電設備の建設などに大量の費用が投入されれば、私たちの電気料金や納税額に跳ね返ってくるでしょう。
そのような事態を見越して、「自分の電気はできるだけ自分で作る」という太陽光発電や蓄電池の考え方が広まっているのです。
再生エネルギーの普及によってこの国はまだまだ豊かになるのです。
電気のことを皆で考えてゆけるように、あなたのお手伝いができれば幸いです。